TwitterのXへの名称変更・ロゴ変更についての所感です。
Xロゴ画像
Twitterは鳥のロゴを削除し、公式ロゴとして「X」を採用しました。
イーロンマスクのTwitterプロフィールアイコンもXになっていました。アプリのアイコンもこの画像のようになるんでしょうか?
概要
ロゴ変更は、すでにウェブサイト上で変更は実施されています。アプリのアイコンはまだ鳥のアイコンのままです(2023年7月25日(火) 現在)
↑Twitter本社にプロジェクション投影されたX。本社ビルからは「Twitter」の看板も取り外されました。
x.com から twitter.com へのリダイレクト
また、x.com にアクセスすると twitter.com にリダイレクト(転送)されるようになりました。
またイーロン・マスクはこのツイートで、これを「暫定的な」ロゴとしていて、将来的には別のロゴへの変更もあるかもしれないことを示しています。
ちなみに、x.comはイーロン・マスクが20年以上前に創業した決済サービスに使われていたドメインでした。x.comは合併後にPayPalとして生まれ変わりました。PayPalはご存知の方も多いでしょう。
↑1999年当時のx.com
Everything Appとしての “X”
Twitterは、ロゴの変更やリダイレクトにとどまらないことが分かっています。イーロン・マスクは「Twitterブランドと全ての鳥にさよならを告げる」だろうと述べています。
同社CEOであるLinda Yaccarinoはツイートで、Twitterが人々の会話の方法を変えた一方で、Xはさらに進んで「音声、映像、メッセージ、支払い/銀行」を中心にした機能を持ち、「アイデア、商品、サービス、チャンスのためのグローバルなマーケットプレイス」になるだろうと述べました。
つまり、Everything Appとして成功を目指すということです。
Everyhing Appとは、あらゆることをその1つのアプリ内で完結できるアプリのコンセプトのことです。Super Appとも呼ばれます。日本ではLINEやPayPayがこれに挑戦しているように見えますが、まだまだこれからという感じでしょう。
代表的なEverything AppのGrab
東南アジアのGrabは、Everything Appとしての代表的な成功例です。
Grabは2012年に創業し、初めはUberのような配車アプリとして運営されていましたが、Grab Payを開始し、そのアプリ内で配車、映画チケット購入、旅行、ホテル予約、消費者ローンなどさまざまなサービスがそのアプリ上で購入できるようになり、約2億人が利用しています。
Grabはナスダックに上場しており、2兆円くらいの時価総額。毎年このアプリで3兆円分の取引が行われています。今も成長中です。ちなみにGrabにはソフトバンクGや三菱UFJが出資していましたね。
Everything AppのためにはTwitterブランドは邪魔になる?
なぜサービス名を変更する必要があったかといえば、このEverything Appとしての成功が目的だからでしょう。
Twitterだと、どうしても「ツイートするところ」でしかないので、そこにさまざまな決済サービスが導入されると正直ユーザーは混乱するでしょう。
それよりも、インパクトのある「X」という名称の新サービスとして展開していくことで、多くのユーザーにとっては結果的にはわかりやすくなるというわけです。もちろん短期的には文句を言う人も出てくる(すでにいる)でしょうが、大した問題ではありません。
ぶっちゃけTwitterじゃなければサービス名は何でも良いのでしょうが、インパクトがあり、x.comというドメインもイーロンが持っていたので、xにしたのでしょう。
ただ、サイト名にTwitterという名前は残っているので、しばらくURLやサイト名としてのTwitterも残すのでしょう。これは賢明な判断だと思います。
Twitterだけでは儲からない
イーロンマスクはTwitterを買収してから、アクセス数や利用率は上げてきましたが、収益面ではそれほど上手くいってはいないようです。
そもそもTwitter広告はずっと微妙な事業でした。一時期黒字になったことはありますが大きな利益を出したことはこれまで1度もありません。
なぜなら、匿名のTwitterとネット広告の相性が悪いからです。FacebookやGoogleのように広告事業が成功している企業は個人情報をたくさん保有しているから成功しているわけで、匿名を重視しているTwitterでは広告ビジネスを成功させるのは無理ゲーなのです。
そして、イーロンマスクの買収以前の業績はあまりに酷く、1年以内にキャッシュが尽きて潰れるところでした。
要するに、Twitterだけでは儲からないのです。
また、「大きな利益を上げられなくても、黒字化すればいいのでは?」と考える人もいると思いますが、それはダメです。
Twitter社は救済のために、(おそらく兆単位での)多額の資金提供を受けているので、もっとガンガン稼いで大きなリターンを返す必要があるからです。
そのため、Twitterは「X」としてホームラン級の事業を目指すことになったのでしょう。
Twitterを存続させるためにそうするしかないとも言えます。
こう考えると、「X」というのが、ただのイーロン・マスクの思いつきではないことに気づきます。とても合理的とも言えます。
というわけで、Twitterがサービス名を変更したり色々な乱暴なことをやるのは「稼いで生き残る必要があるから」「高収益企業になる必要があるから」なわけで、多少は乱暴でないといけないのです。細かいことをチマチマやっている場合ではありません。
潰れかけた企業を立て直し、さらに大成功させなければいけないという義務を負っているのですから。
さよなら青い鳥…
この記事の著者
阿部 隼也
Abe Shunya
株式会社プッシュ 代表取締役社長・創業者。東京都出身。横浜市立大学在学中に当社を創業し、SEOなどデジタルマーケティング事業や、ChatGPT入門講座を代表とするプライムアカデミー事業を立ち上げた。技術も好きで、自らコードを書きながらサービスを開発する。
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